大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和26(あ)3808 判決

主 文

原判決及び第一審判決を破棄する。

本件を和歌山地方裁判所に差戻す。

理 由

弁護人加藤龍雄の上告趣意について。

本件犯行当時の関税法(昭和二五年四月三〇日法律一一七号により改正された明

治三二年法律六一号)八三条一項は、「第七十四条、第七十五条若ハ第七十六条ノ

犯罪ニ係ル貨物、其ノ犯罪行為ノ用ニ供シタル船舶又ハ第七十六条ノ二ノ犯罪ニ係

ル貨物ニシテ犯人ノ所有又ハ占有ニ係ルモノハ之ヲ没収ス」と規定しているけれど

も、同条項は、同条所定の貨物又は船舶が犯人以外の第三者の所有に属し、犯人は

単にこれを占有しているに過ぎない場合には、右所有者たる第三者において、貨物

について同条所定の犯罪行為が行われること又は船舶が同条所定の犯罪行為の用に

供せられることをあらかじめ知つており、その犯罪が行われた時から引きつゞき右

貨物又は船舶を所有していた場合に限り、右貨物又は船舶につき没収のなされるこ

とを規定したものと解すべく、かく解すれば、右条項は何ら憲法二九条に違反しな

いことは当裁判所大法廷の判例とするところである。(昭和二六年(あ)第一八九

七号同三二年一一月二七日言渡大法廷判決参照)

しかるに本件記録に徴すると、被告人が共犯者と共に第一審判決判示の貨物を不

法に密輸出した犯罪行為に供した船舶Aは、被告人等以外の第三者の所有に属する

ことがうかがわれるのであるが、原判決の是認した第一審判決は、右船舶の所有者

において、右船舶が本件犯罪行為の用に供せられることをあらかじめ知つていたか

否かの知情の点については、何らこれを明確にしていないのである。してみれば右

船舶Aを没収する旨言渡した本件第一審判決及びこれを是認した原判決は、前記関

税法八三条一項の解釈を誤つた違法があるか、又は右船舶没収の前提要件たる知情

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の事実を確定しない審理不尽の違法があるものであつて、原判決及び第一審判決は、

この点においてこれを破棄しなければ著しく正義に反するものといわなければなら

ない。

よつて刑訴四一一条一号により原判決及び第一審判決を破棄し、同四一三条に則

り本件を和歌山地方裁判所に差し戻すべきものとし、裁判官全員一致の意見により

主文のとおり判決する。

検察官 稲川龍雄出席。

昭和三三年一月一四日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 小 林 俊 三

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 垂 水 克 己

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